私たちが普段よく耳にする細菌類は、食中毒を引き起こす大腸菌やO-157、サルモレラ菌。肺炎を引き起こすレジネオラ菌。胃炎を起こすピトリ菌などがあります。

その中で建築設備に一番関係の深いレジネオラ菌について述べてみます。

レジネオラ菌の名前が知られるようになったのは、1976年にアメリカのフィラデルフィア市のホテルで開かれた在郷軍人大会で、重症の肺炎患者が発生し29名が死亡し、またホテル前の通行人からも5名が死亡した。この肺炎の原因がレジネオラ菌だったのです。

レジネオラ菌の発見される場所としては温浴施設、24時間風呂、空調用冷却塔、噴水などがよく知られています。

ではレジネオラ菌についてもう少し詳しく解説してみましょう。

レジネオラ菌の特徴

名  称・・・・レジネオラ属菌(細菌):現在41菌種が認められている。これらを総称して
        ジネオラ
属菌と呼びます。
レジネオラ属菌は菌体の一端に1本の鞭毛がある運
        動性を持った細菌です。

生  息・・・・世界各国の自然界の土壌や淡水に生息する。

寄  生・・・・アメーバその他の細菌捕食原生動物に寄生して増殖する。

発育環境・・・・発育可能温度域:25℃〜43℃  発育至適温度:35℃〜36℃  pH6.9前後 

・・・・レジネオラ菌の生息する温水、土壌、砂塵など。

感染経路・・・・汚染された温水や土壌などのエアロゾル(1〜5μm)を吸入することにより感染
        する。人から人への感染はない。

・・・・健康な人は発病しにくい。発病しやすい人は高齢者や体力の低下した人、喘息
        など呼吸器系に障害のある人。
人工環境水でのレジネオラ属菌数と人の発病の
        関係について、菌数抑制の望ましい範囲として
1×102未満 CFU/100mlそれ以上
        で管理対策が必要との報告がある。

症  状・・・・レジネオラ症は二つに大別できる。

        a.レジオネラ肺炎:多臓器不全を起こして発病後1週間以内に死亡する劇症
          型や抗生物質による治療で治癒するものまで様々である。
         
10日の潜伏期の後に発熱する。全身倦怠、疲労感、頭痛、筋肉痛、咳
          などの症状がでる。咳はあるが痰はなく、悪寒、下痢、呼吸困難もみられ
          る。(通常咽頭痛や鼻炎などの上気道の炎症症状はみらない。)
その他
          識障害、傾眠、幻覚、歩行障害などの精神神経学的症状も早期からみられ
          ることもある。

        b.ポンティアック熱:自然治癒型でインフルエンザに似た症状がみられる。
          発熱、悪寒、筋肉痛、倦怠感、頭痛などで、その他に下痢、腹痛、関節痛
          などの症状もみられ、咽頭痛などの上
気道炎症がみられる場合もある。ポ
          ンテアック熱での死亡はないようです。
          両病型とも人から人へ伝染することはなく、共通の汚染された感染源から
          複数の人が感染して発病することがあ
ります。

現  状・・・・a.温浴施設:国立感染症研究所などがH14年に発表したところによると、全
          国の温泉やスーパー銭湯など
237ヶ所を調べたところによると64%からア
          メーバが発見されたそうです。アメーバが生息している以上、自然界から
          飛ば
されてきたレジネオラ菌がアメーバに寄生する可能性が高いと考えら
          れる。

          最近では循環式の風呂が多く、温浴施設で温水温度を低目に設定している
          ところは、レジネオラ菌の生息環境として最適なところとなる
。打たせ湯
          やシャワー、ジャグジ−バスなど細かい霧が飛散するような使い方をする
          と、菌を
含む細かい粒子を肺胞まで吸い込んで感染することが一般的であ
          る。

        b.空調用冷却塔:藻類や細菌の代謝産物を利用したり、アメーバに寄生して
          増殖する。また、これらの共存微生物
と共生し生息環境条件を広げたり、
          冷却水の蒸発により水質が濃縮されることも要因と考えられる。特に夏場
          で
は水温が上がり、藻や微生物の生息環境が整い急速に増殖するようにな
          る。
         
冷却塔内を循環する冷却水に含まれる菌は水滴と共に飛散し送風機により
          空気中に散布される。これが空気中を
浮遊し通行中の人や、ビルの給気口
          から吸込まれビルの室内を浮遊することになる。これを吸込んで感染する
          こ
とになる。
          水処理をしていない冷却塔水の70%からレジオネラ菌が検出されたとの報
          告もある。

                         噴水に関しても冷却塔と同様である。

対  策・・・・1.水質検査を定期的に行い水質や細菌数を把握する。

        2.浴槽、ストレーナーなどの清掃や濾過機の逆洗をこまめに行い設備を清潔
          に保つこと。

        3.補給水を多めにして水質悪化を防ぐこと。

        4.循環装置を使用している場合は、シャワーに循環水を使用しないこと。

        5.循環水の遊離残留塩素濃度を0.20.4mg/Lを1日2時間以上保つこと。

        6.水中での紫外線やオゾン殺菌を行うこと。

        7.水質管理を徹底する。

          a.エアロゾル等を人が直接吸引する可能性のない場合 100CFU/100ml以下

          b.超音波やジャロジー風呂、シャワー水等を人が直接吸引する恐れのある
           場合 
10CFU/100ml以下

        8.冷却塔や噴水については過酸化水素、次亜塩素酸ソーダなどで消毒・殺菌
          処理を行い。水質管理を徹底する。

備  考・・・・レジネオラ菌は70℃5秒、あるいは0.4ppmの残留塩素15分で死滅する。



                    


レジネオラ菌